月によって売上の波が大きく、回数券が売れた月だけ何とか利益が出ても、自分が休めば売上が止まってしまう。
「このまま10年、20年、毎日施術し続けるのか…」
そんな将来への不安を抱えている整骨院の院長は少なくありません。
リピート率が低い状態が続くと、常に新規集客に追われ続けることになります。広告費をかけても患者さんが定着しなければ、経営は安定しません。
この記事では、整骨院のリピート率を改善するために必要な知識と具体的な施策をお伝えします。
この記事を読むと以下のことがわかります。
- 自院のリピート率を数字で把握できる
- 患者が続かない根本原因(3つの不)が分かる
- 明日から現場で試せる5ステップと、継続できる仕組みのヒント
リピート率を60%から80%に改善できれば、新規集客に頼らずとも経営が安定します。売上の予測が立てやすくなり、院長自身が休める時間も増えるでしょう。
元理学療法士としての現場経験と、治療院マーケティングの知見を踏まえて解説します。
整骨院のリピート率とは?平均値・計算方法・目標ライン
リピート率とは、初回来院した患者さんのうち、何割が2回目以降も来院したかを示す指標です。整骨院の経営において、リピート率は売上の安定性を左右する重要な数値となります。
ただし「リピート率」には複数の意味があります。2回目来院率、3回目来院率、継続率など、どの段階を見るかによって意味合いが変わってきます。
まずは自院のリピート率を正しく計算し、現状を把握することが改善の第一歩です。
整骨院のリピート率の基本と計算方法
リピート率には、大きく分けて以下の3つの指標があります。
1. 2回目リピート率
初回来院した患者さんのうち、2回目も来院した割合です。
計算式: 2回目リピート率(%) = (期間内に2回目来院した患者数 ÷ 初回来院患者数) × 100
計算例
- 1ヶ月間で新規患者が20名来院
- そのうち12名が2回目も来院
- 2回目リピート率 = (12 ÷ 20) × 100 = 60%
2. 3回目リピート率
初回来院した患者さんのうち、3回目も来院した割合です。
計算式: 3回目リピート率(%)= (期間内に3回目来院した患者数 ÷ 初回来院患者数)× 100
計算例:
- 1ヶ月間で新規患者が20名来院
- そのうち10名が3回目も来院
- 3回目リピート率 = (10 ÷ 20) × 100 = 50%
3. 3回以上リピート率(継続率)
初回来院した患者さんのうち、3回以上来院した割合です。これは患者さんの定着度を示す指標となります。
これらの数値を毎月記録することで、施策の効果測定が可能になります。ExcelやGoogleスプレッドシートで管理すると、月別・施術者別の比較もしやすくなります。
平均値と「危険水域・標準・優秀」ライン
初回→2回目のリピート率について、一般的な目安は以下の通りです。
- 50%未満:危険水域 ー 説明不足・接遇問題の可能性が高い
- 60%前後:標準レベル ー 一般的な整骨院の平均的な水準
- 70〜80%台:優秀 ー 患者満足度が高く、経営が安定している
- 80%以上:トップクラス ー 業界内でも特に優れた水準
自院のリピート率が50%未満の場合、初回来院時の対応に大きな課題があると考えられます。患者さんが「もう一度来たい」と思えていない状態です。
60%前後であれば標準的ですが、ここから70%、80%へと改善することで、経営の安定性は大きく向上します。
「自院はどこにいるのか?」を把握することが、目標設定の第一歩です。まずは現状のリピート率を計算してみましょう。
なぜ「2回目」と「3回目以降」を分けて見るべきか
2回目リピート率と3回目以降のリピート率を分けて見る理由は、それぞれが示す意味が異なるからです。
2回目リピート率 = 「信頼獲得の入り口」
2回目は「とりあえずもう一度行ってみよう」という気持ちで来院する患者さんも多く、ここでのリピート率は比較的高くなりがちです。2回目のリピート率が低い場合は、初回来院時の説明や対応に問題があると考えられます。
3回目以降のリピート率 = 「定着度・LTV」
3回目になると「本当に通い続ける価値があるか」を患者さん自身が判断するタイミングになります。3回目以降のリピート率が低い場合は、施術計画の説明不足や効果の実感不足が原因として考えられます。
元理学療法士の視点から言えば、多くの慢性症状は1〜2回の施術では根本的な改善に至りません。腰痛や肩こりなどの症状改善を実感するのは、3〜5回目の施術を経てからというケースが多いのです。
初回〜3回目までの来院で、リピート率が大きく分かれます。どの段階で患者さんが離脱しているのかを把握することで、取るべき施策が明確になります。
なぜ患者さんは2回目に来ないのか?リピートされない「3つの不」
リピート率を上げるためのテクニックだけを増やしても、根本的な問題が解決されなければ効果は出ません。患者さんがリピートしない根本原因は、「不安・不満・不信」の3つに集約されます。
これらの「3つの不」を解消することが、リピート率向上の鍵を握ります。
【不安】いつまで通えばいいか分からない
患者さんの多くは「何回通えば良くなるのか」「本当に良くなるのか」が見えない状態で帰宅しています。
治療計画・ゴール・通院頻度のロードマップが提示されていないと、患者さんは次のような不安を抱えます。
- 「いつまで通えばいいのか分からない」
- 「この施術で本当に改善するのか分からない」
- 「今後どれくらいお金がかかるのか分からない」
ゴール設定がないまま「また来てください」と言われても、患者さんは「とりあえず1回行ってみたけど、あとは様子を見よう」と判断してしまいます。
この不安を解消するには、初回来院時に「どのくらいの期間・回数で、どこまでの状態を目指すのか」を明確に伝えることです。
【不満】期待したほどの効果や対応ではない
患者さんが期待したほどの効果や対応を感じられないと、リピートにはつながりません。
よくある不満の例
- 施術効果を体感できない
- 説明が専門用語だらけで理解できない
- 待ち時間が長い
- 接遇が冷たい・事務的
患者さんは専門知識より、分かりやすさと共感を求めています。
例えば、「腰方形筋が硬縮しているので、筋膜リリースを行います」という説明では、患者さんには伝わりません。「腰の奥の筋肉が固まっているので、これをほぐすと痛みが楽になりますよ」という平易な言葉で説明する方が、患者さんは安心できます。
【不信】「通わせたいだけ」と思われている
強引な次回予約や高額回数券の不透明な提案が、不信感を生む典型例です。
患者さんは「この整骨院は、私の症状を改善したいのか、ただ売上を上げたいだけなのか」を敏感に察知します。
不信感を生む行動
- 初回来院時にいきなり高額な回数券を勧める
- 「次はいつ来ますか?」と強引に予約を迫る
- 症状の説明なく「とりあえず週2回来てください」と言う
「売り込み」ではなく、「患者の未来のための提案」に変える必要があります。
例えば、「この症状を根本的に改善するには、週2回のペースで3ヶ月の施術が必要です。そうすることで、日常生活での痛みがほぼ感じなくなる状態を目指せます」という説明であれば、患者さんは納得して通院を続けられます。
明日から実践!リピート率80%を目指す5ステップ
ここからは、”3つの不”を解消し、リピート率80%を目指すための具体的なステップを解説します。
問診からフォローまでを体系化することで、リピート率は確実に向上します。
Step1【問診】ゴールを共有する
リピート率向上の鍵は、初回の問診でゴールを共有することです。
多くの整骨院では「どこが痛いですか?」「いつから痛いですか?」という質問で終わってしまいますが、これだけでは不十分です。
ゴールを引き出す質問例
- 「この痛みが良くなったら、何がしたいですか?」
- 「痛みがなくなったら、どんな生活を送りたいですか?」
- 「この症状で一番困っていることは何ですか?」
例えば、腰痛の患者さんに「治ったら何がしたいか?」と聞くと、「孫と公園で遊びたい」「旅行に行きたい」「仕事で重い荷物を持てるようになりたい」といった具体的なゴールが出てきます。
このゴールを共有することで、患者さんは「この先生は、私の痛みだけでなく、私の人生を良くしようとしてくれている」と感じます。
オープンクエスチョン(自由回答形式の質問)やバックトラッキング(患者さんの言葉を繰り返す)などのテクニックを使うことで、信頼関係を作ることができます。
Step2【施術・説明】ビフォーアフターで変化を「見える化」する
施術の効果を患者さん自身が実感できるように、ビフォーアフターで変化を「見える化」することが重要です。
変化を見える化する方法
- 可動域チェック: 「施術前は前屈で床から指先10cmでしたが、今は5cmまで届くようになりましたね」
- 痛みスケール: 「施術前は痛みレベル8でしたが、今は3まで下がりましたね」
- 姿勢写真: 施術前後で姿勢の写真を撮り、変化を見せる
スマホで撮影するだけでOKです。特別な機材は必要ありません。
元理学療法士の視点から言えば、評価の可視化は信頼構築に直結します。数値や画像で変化を示すことで、患者さんは「確かに良くなっている」と実感できます。
また、なぜこの施術が必要か、なぜこの頻度が必要かを、患者さんの生活と結びつけて平易に説明することも大切です。
例えば、「腰の筋肉が固まっているので、これをほぐすことで痛みが楽になります。ただ、1回だけだと筋肉がまた固まってしまうので、週2回のペースで通うことで、筋肉が柔らかい状態を維持できるようになります」という説明です。
Step3【施術計画】回数と期間・通院ペースを明確に伝える
施術計画を明確に伝えることで、患者さんは「いつまで通えばいいか」が分かり、不安が解消されます。
施術計画の伝え方
「あと5回の施術で、日常生活での痛みがほぼ感じない状態を目指しましょう。最初の2週間は週2回のペースで通い、その後は週1回に減らしていきます」
このように、回数・期間・通院ペースを具体的に伝えることで、患者さんは見通しを持てます。
施術計画書を作成して渡すのも効果的です。簡易的なものでOKです。
途中での経過確認・プラン修正も重要です。「前回から1週間経ちましたが、痛みの変化はどうですか?」と聞くことで、患者さんは自分の状態を振り返り、継続の必要性を再認識できます。
Step4【次回予約】会計前に自然な形で提案する
次回予約を取るかどうかで、リピート率は大きく変わります。会計後に「また来ます」と言って帰る患者さんの多くは、実際には来院しません。
次回予約を取るポイント: 「次どうしますか?」という曖昧な質問ではなく、「〇〇を改善するために、次は〇日後がベストです。〇日と〇日ならどちらが良いですか?」と選択肢を提示
トークスクリプト例: 「腰の筋肉をしっかりほぐすために、次は3日後に来ていただくのがベストです。木曜日と金曜日なら、どちらがご都合よろしいですか?」
このように、理由を添えて選択肢を提示することで、患者さんは予約を取りやすくなります。
次回予約率70%以上を目標にしましょう。トークスクリプト化してスタッフ全員が同じ対応をできるようにすることで、院全体のリピート率が向上します。
Step5【アフターフォロー&ファン化】LINE・回数券・紹介制度を活用する
施術が終わった後も、患者さんとの接点を保つことでリピート率は向上します。
LINE公式アカウントと連携できる予約システムを導入すると、患者さんはLINEから24時間いつでも予約できるようになります。電話対応の負担が減り、予約の取りこぼしも防げます。
LINEでの配信頻度は月2〜4回が目安です。頻繁すぎるとブロックされるリスクがあるので注意しましょう。こそ生まれるものです。まずは目の前の患者さんに満足してもらうことを最優先にしましょう。
個人のスキルに頼らない!リピートを「仕組み化」し安定経営を実現する
ここまで解説した5ステップを、個人のスキルだけに頼るのではなく仕組み化することで、安定した経営を実現できます。
アナログ管理の限界と「抜け漏れ」のリスク
紙カルテ・紙予約では、リマインド漏れ・情報共有漏れが起こりやすいのが現実です。
アナログ管理の問題点
- 予約リマインドを忘れる
- 施術計画がスタッフ間で共有されない
- 患者さんの情報がバラバラに管理される
- 院長一人の記憶に頼ってしまう
院長一人の頑張りに依存していると、患者数が増えた瞬間に”3つの不”が一気に増える構造になってしまいます。
スタッフが増えても、院長と同じレベルの対応ができなければ、リピート率は下がります。
予約システム・CRM・LINE公式で「自動的に続く仕組み」を作る
予約システム・CRM(顧客管理システム)・LINE公式アカウントを活用することで、自動的に続く仕組みを作ることができます。
仕組み化のメリット
- 予約リマインドの自動送信: 予約の3日前・前日に自動でリマインドが送られる
- カルテ情報の共有: 全スタッフが患者さんの情報を確認できる
- 患者属性に合わせたメッセージ配信: 腰痛患者には腰痛ケアの情報、肩こり患者には肩こりケアの情報を自動配信
問診・説明・次回予約・フォローをマニュアル化し、スタッフ全員が同じ流れで対応できるようにすることで、院全体のリピート率が向上します。
院長がいなくても、同じレベルの対応ができる状態を作ることが、安定した経営の鍵です。
リピート・紹介を自動化する「UTAGE」の活用
ステップメール配信・顧客管理・販売管理を一元化できるマーケティングオートメーションツール「UTAGE(ウタゲ)」を活用すれば、リピート・紹介の仕組みをさらに強化できます。
UTAGEでできること
- 初回来院後に自動でフォローメールを配信
- 患者さんの来院回数に応じて、異なる内容のメッセージを送る
- 回数券の販売・決済までオンラインで完結
- 紹介キャンペーンの管理・特典配布の自動化
まとめ:明日から始めるリピート率改善の第一歩
この記事では、整骨院のリピート率を改善するための全体像をお伝えしました。
- 数値把握: まずは自院のリピート率を計算し、現状を把握する
- 3つの不の解消: 不安・不満・不信を解消することが根本対策
- 5ステップの実践: 問診→施術・説明→施術計画→次回予約→フォローの流れを体系化
- 仕組み化: 個人のスキルに頼らず、誰でも同じ対応ができる状態を作る
リピート率を60%から80%に改善できれば、経営は大きく安定します。新規集客に追われることなく、既存患者さんとの信頼関係を深めることで、紹介も自然に増えていきます。
まずは自院のリピート率を計算してみてください。そして、最も弱いステップを1つだけ改善することから始めましょう。
全てを一度に変える必要はありません。1つずつ改善していくことで、リピート率は向上します。
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