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なぜ患者さんは離れる?心理学に基づいた信頼関係の築き方と会話術

「新規患者さんが来てもなかなか2回目につながらない…」

こうした悩みを抱える治療家は少なくありません。

施術の質が問題だと考えている先生が多いですが、実はこの問題の根本的な原因は技術ではなく、患者心理の理解不足にあるケースがほとんどです。

この記事では、患者さんが治療院から離れてしまう3つの心理的要因、来院ステージ別での心の変化と対応の仕方、そして明日から使える実践的な会話テクニックまで、心理学に基づいたアプローチを解説します。

目次

患者が離れてしまう3つの心理的要因

患者さんが治療院から離れる根本原因は、心理学的に「不安」「不信」「不満」という3つの「不」に整理できます。

原因1:コミュニケーション不足による不安

患者さんが強く感じる不安として、「今、何をされているのか分からない」という恐怖が挙げられます。そんななか、施術中に説明がないと、患者さんの頭の中では不安が膨らみ続けます。

理学療法士の臨床現場でもそうなのですが、ラポール形成(患者さんとの信頼関係の構築をすること)が治療継続率に直結することが知られています。

特に初診時は警戒心が高い段階です。施術者の言葉や態度から「この先生は信頼できるか」を無意識に評価しているので、はじめの対応はとても大切になってきます。

具体例

患者さんが施術台に横たわり、沈黙の中で施術が進む。この状況では、患者さんは「痛いことをされないか」「本当に効果があるのか」と不安を募らせます。

改善策

施術中は「今、肩甲骨周りの筋肉をほぐしています」「ここが特に硬くなっていますね。これが肩こりの原因です」と実況中継のように説明しましょう。

また、患者さんの表情や反応に注意を払い、不安そうな様子が見えたら「痛みはありませんか?」と声をかけることで安心感が生まれます。

原因2:価値が伝わらないことによる不信

「自費診療で5,000円も払ったのに、本当に意味があるのか?」

このような疑念を抱く患者さんは意外と多いですが、それは施術の質が低いのではなく、その価値が患者さんに伝わっていないことが原因です。

患者さんは専門知識がないため、施術者が当たり前だと思っている技術の価値を理解することは難しいのです。

具体例

初診時に身体の状態を説明せず、いきなり施術を始める。施術後も「お大事に」だけで終わってしまう。患者さんは「何が改善したのか」「なぜ複数回通う必要があるのか」が分からないまま帰宅します。

改善策

  • 問診時に患者さんの身体の状態を、模型や図を使って説明する
  • 施術前後の変化を数値化・言語化する(可動域が15度改善しましたなど)
  • 「なぜ継続が必要か」を患者さんのゴール(仕事復帰、趣味再開など)と結びつけて説明する

原因3:期待と現実のギャップによる不満

患者さんが「1回で良くなる」と期待して来院した場合、施術後も痛みが残っていると失望します。この期待値のコントロールが不十分だと、患者さんの満足度は大きく下がってしまいます。

また、対応や環境も患者さんの心理に影響します。待合室の清潔感、スタッフの身だしなみ、声のトーンなど、目に見えない部分が信頼感を左右するので十分な配慮が必要です。

具体例

ホームページで「劇的改善!」と謳っている治療院に来院した患者さん。初回施術後も痛みが残り、「話が違う」と感じて2回目の来院をキャンセルしてしまう。

改善策

・初回カウンセリングで「できること・できないこと」を明確に伝える

・「改善には段階的なプロセスが必要です」という前提を丁寧に説明する

・待合室の整理整頓、スタッフの笑顔、清潔な施術着など、環境面にも配慮する

【ステージ別】患者心理の変化と最適対応

患者さんの心理状態は、来院前から定着期まで大きく変化します。各ステージで求めているものが異なるため、ステージに合わせたコミュニケーションが不可欠です。

STEP1:初診・問診期(評価期)

初診時の患者さんは警戒心が最も高い段階です。「この先生は信頼できるのか」「痛いことをされないか」「お金だけ取られて効果がないのでは」といった不安が渦巻いています。

そこで、オープンクエスチョン・傾聴・バックトラッキング(オウム返し)が信頼形成に効果的とされています。これらのテクニックを使うことで、患者さんは「自分の話を聞いてくれている」と感じ、心を開いてくれます。

【実践的な会話例】

NG例

治療家:「どこが痛いですか?」

患者:「腰です」

治療家:「いつからですか?」

患者:「1週間前からです」

治療家:「分かりました。では施術しますね」

OK例

治療家:「今日はどのような症状でお困りですか?(オープンクエスチョン)」

患者:「腰が痛くて、朝起きるのがつらいんです」

治療家:「朝起きるのがつらいということですね(バックトラッキング)。その痛みについて、もう少し詳しく教えていただけますか?」

患者:「実は仕事で重いものを持つことが多くて…」

治療家:「仕事での負担が大きいんですね(共感)。痛みで仕事に支障が出ていると、本当につらいですよね」

このように、患者さんの言葉に耳を傾け、共感しながら対話することで、信頼関係の土台が築かれます。

STEP2:施術期(納得期)

施術中は、患者さんが「何をされているか理解できる」状態を保つことが大切です。

黙々と施術するのではなく、「今何をしているか」を実況中継のように説明しましょう。

また、触診結果やビフォーアフターを可視化することで、施術の価値を体感で理解してもらえます。

実践例

「今、この部分の筋肉を触ってみますね。ここ、すごく硬くなっていますよね?(患者さんに触らせる)これが痛みの原因です。今からこの硬さをほぐしていきますので、少し圧を感じると思います。痛かったら遠慮なく教えてくださいね」

施術中も患者さんの反応を確認しながら進めることで、「この先生は私の感覚を大切にしてくれている」という安心感が生まれます。

STEP3:施術後・クロージング期(期待期)

施術前に入る前の段階で、患者さんの心理はかなり左右されますが、施術後のクロージングも次回来院を決める重要な段階です。施術効果を一緒に確認し、ポジティブな印象で締めることがポイントです。

クロージングの流れ

1. 効果の確認

「施術前と比べて、動かしやすくなりましたか?」

(患者さんと一緒に可動域を確認する)

2. 今後の見通しを伝える

「今日の施術で、筋肉の緊張がかなり緩みました。あと2〜3回の施術で、さらに安定した状態になると思いますよ」

3. 患者さんの生活目標と結びつける

「このペースで改善すれば、来月の登山も楽しめると思いますよ」

義務として「次回も来てください」と言うのではなく、患者さん自身が「次も来たい」と思える動機づけをすることが大切です。

リピート率を高める心理戦略と会話テクニック

ここでは、患者さんのリピート率を高めるために取り入れられる心理学の3つの原則をご紹介します。

心理学的原則1:ザイオンス効果(単純接触効果)

「繰り返し接触することで、相手への好感度が高まる」という心理です。治療院経営では、患者さんとの接触頻度を増やすことでリピート率が向上する可能性があります。

実践方法

初診から1週間後、LINEで「その後、お身体の調子はいかがですか?何か気になることがあれば、いつでもご連絡くださいね」とメッセージを送る。患者さんは「この先生は私のことを気にかけてくれている」と感じ、心理的距離が縮まりやすいです。

心理学的原則2:サンクコスト効果

「既に投資した時間やお金が多いほど、その活動を続けたくなる」という心理です。初診から3回目までの間に、小さな改善体験を積み重ねることで、患者さんは「ここまで来たのだから、もう少し続けよう」と考えるようになります。

実践方法

初診時に「3回目までに、確実に変化を実感していただけます」と目標を明確化し、2回目・3回目で「ここまで改善しましたね」と進捗を共有する。

心理学的原則3:一貫性の原理

「一度言ったことや決めたことを守りたい」という心理です。患者さんが自ら「通院を続けよう」と決意することで、リピート率が高まります。

実践方法

施術後に「次回はいつ頃来られそうですか?」と患者さん自身に決めてもらう。強制ではなく、患者さんの意思で予約を取ることで、キャンセル率が大幅に低下します。

治療家が無意識にやりがちな3つの落とし穴

善意で行っているコミュニケーションが、実は逆効果になっているケースがあります。

1.「治ったら何がしたいですか?」の誤用

この質問は患者さんのモチベーションを高める意図で使われますが、初期段階では逆効果になることがあります。症状が重い患者さんにとって、「治った後の未来」を想像することはプレッシャーになるからです。

改善策

スモールステップを意識した質問に変えましょう。

  • NG:「治ったら何がしたいですか?」
  • OK:「来週末、無理なくできそうなことは何ですか?」

小さな目標を設定し、それを達成する体験を積み重ねることで、患者さんは自然と改善への実感を得られます。

2.専門用語・理論の押しつけ

「椎間板ヘルニアによる神経根症状が…」といった専門用語ばかり使うと、患者さんは理解できないだけでなく、距離感を感じてしまいます。

患者さんが知りたいのは「なぜ痛いのか」「どうすれば良くなるのか」というシンプルな答えです。

改善策

  • NG:「脊椎の椎間板が圧迫されて神経根症が生じています」
  • OK:「背骨の間のクッションが潰れ気味になっていて、それが神経に触れて痛みが出ているんです」

患者さんが理解できる言葉で説明することが、信頼関係の第一歩です。

3.意図のない雑談による緊張感の緩み

世間話は信頼関係を築く手段として行われるものですが、目的なく行うと馴れ合いになり、治療家としての専門性が損なわれてしまいます。

改善策

コミュニケーションには常に「患者さんの不安を軽減する」という目的を持ちましょう。世間話をする場合も、「この話題が患者さんのリラックスにつながるか」を意識することが大切です。

まとめ:患者心理を理解して選ばれる治療院へ

患者さんが治療院から離れる理由は、決して施術技術の不足ではありません。多くの場合、患者心理への理解不足から生まれる「不安」「不信」「不満」が原因です。

患者さんが求めているのは「十分な説明」「親身な診療」「対等な信頼関係」です。

今日から実践できる一歩として、以下のアクションを試してみてください。

1. 施術中の説明を意識的に増やす(実況中継スタイル)

2. 初診時の問診で「この症状が改善したら何がしたいですか?」と潜在ニーズを引き出す

3. 施術後のクロージングで、患者さんと一緒に効果を確認する時間を作る

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この記事を書いた人

shunのアバター shun 元理学療法士マーケター

医療現場での経験を持つフリーランスマーケター。
治療院・クリニック向けのSEO記事、メールマーケティング、マーケティング自動化(UTAGE)を専門に、患者心理と経営者の課題の両方を理解した実践的な支援を提供。
「治療院の売上が院長の労働に依存している状態」から抜け出すための、リピート・紹介の仕組み化を得意としている。

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